
ネギ・green onion
・porro
・poireau
・lauch
・cebollino
・cebolinha
・葱
α. 歴史
ネギの原産地は中国西部あるいはシベリアとされています。中国では紀元前から栽培されていたようです。ヨーロッパには16世紀末、アメリカには19世紀に伝わったそうですが、アメリカではすでにタマネギが広く普及していたためあまりポピュラーな野菜として認知されていませんでした。
日本へは西洋よりも早くに伝わっていました。「日本書紀」(720年)に秋葱(あきぎ)という名前が出てくることから、かなり古い時代から存在していたと考えられます。ネギの古い呼び名は葱(キ)であり、根の発達が目立つことから「ネギ」の名が付いたそうです
β. ネギの種類
ネギは大きく分けると、葉ネギ(緑の葉の部分が多く葉から根まで食べられるもの)と深谷ネギ(根元に土寄せして軟化栽培して、白根だけを食べるもの)に分けられます。
・九条ネギ
九条ネギは奈良時代前半から京都で栽培され、江戸時代に京都市南区九条付近が一大産地となり、名前が定着しました。
耐暑性があり、京都の気候に適しており、同市南部化から桂川付近で栽培が盛んです。
・小ネギ
九条ネギを若採りしたのが「博多万能ねぎ」(小ネギの一種でブランド名)です。高知、大分、静岡、千葉、さらに東北や北海道などに関東への出荷のための大きな産地が作られ、以降地場消費も増えていきました。
・葉ネギ
葉ネギは一年中出荷されていますが、特に春と秋に葉が柔らかい時期があり、葉ネギの旬の時期とされます。
白ネギと比べると緑の部分が多い葉ネギの方が栄養的に優れているということになるでしょう。
・根深ネギ
葉ネギに比べると栄養的には劣っている根深ネギですが殺菌効果や抗菌効果があり魚などの生ものの臭みを抑える働きがあります。
γ. ネギはこんなにも体に良い!
*独特なあの香気成分は体に良い!?
ネギには独特の強い香りがありますが、これはイソアリインという機能性成分が含まれているからです。タマネギの涙のもとになる成分の原点はこのであり、ネギ属の野菜に多く含まれています。切り刻むとアリイナーゼなどの酵素が働いて化学変化を起こし、独特な香りを呈します。イソアリインは小腸で脂質の吸収を促進する機構に作用し、脂質の吸収を低下させると考えられています。ネギの血液サラサラ効果の所以はこのことから来ています。ただし、血液サラサラ効果を期待するならば生のまま食べるのが一番です。
*他にもこんな効果があります!
ネギはビタミンCを多く含んでいます。ビタミンCには抗酸化作用があり、生活習慣病の予防や老化防止に役立ちます。また、古くから「風邪をひいたときには焼いた白ネギをのどにあてたり、ネギを食べるとよい」といったいわれがありますね。これはネギのもつ殺菌作用であり、揮発性成分であるためだと考えられます。さらには、ネギに含まれるフルクタンという糖がインフルエンザウイルスのはたらきを抑える効果があるといった報告もされています。
*ネギの旬
温室栽培によって1年中手に入れることができますが、特に栄養が多いのは11月~2月の冬場です。鍋のおいしい時期、風邪をひきやすい時期に最適な野菜ですね。
ネギの機能性に関する文献
・Nutritional composition and anti-obesity effects of cereal bar containing Allium fistulosum (welsh onion) extract. Journal of Functional Foods., Volume 6, P 428–437
・Anti-influenza A virus effects of fructan from Welsh onion (Allium fistulosum L.).
Food Chemistry., Volume 134, Issue 4, P.2164–2168